処理汚染水海洋放出を強行する関係閣僚会議決定に抗議する

政府は福島第一原発事故で生じた処理汚染水を8月24日に海洋放出することを決定した。漁業関係者や被災県民、国内外の関係者全ての人々の声に背き、海洋放出を強行する岸田政権に対し、強い憤りとともに抗議し即時撤回を求める。

 岸田首相は、2015年に政府と漁業者が交わした「関係者との理解なくしていかなる処分もしない」という重い約束を破った。この約束は、原発事故で被害を被った生産団体、観光業はもとより、被災県民、国内外の全ての人々との約束に他ならない。約束の反故は、原発事故を起こした国の責任を放棄し、廃炉と復興の両立を謳う詭弁を弄しながら幾重もの加害行為を繰り返すこと以外のなにものでもない。

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)会長は、8月21日の岸田首相との面談で「反対であることはいささかも変わらない」と強調した。一方で、安全と社会的安心は異なるとして、子々孫々まで安心して漁業が出来るよう国の責任を求めた。また「約束は破られていないが果されてもいない」とも述べ、廃炉完了と漁業継続が理解の必須条件であると強調した。2015年に東電は原発から日々発生する汚染水量を抑えるため、地下水を井戸で汲み上げて、浄化した上で海への放出を始めた。この際、反発する地元漁業者が容認に転じたのは、処理汚染水については「理解なく放出しない」と約束をしたからだ。しかし、今回その約束が破られたのである。岸田首相は、今後も漁業者の生業が継続できるよう「全責任をもって対応することを約束する」と発言したが、その約束が担保されるかは甚だ疑問である。

 近隣諸国や太平洋諸島の国々の不安や懸念に一切応えることもなく、国内で開催した1500回余りの説明会についても実績を喧伝するばかりであった。陸上保管・汚染水に含む放射性物資の総量や核種影響、生態系への影響、国内法違反・国際法違反状態、汚染水減対策、廃炉のあり方(使用済み核燃料の取り出し・デブリの取り出し・放射性廃棄物処理・廃炉と復興)等、人々の疑問や意見には一切応えてはいない。

 国や東京電力への不信感は頂点に達している。海を汚す権利は誰にもない。

社民党は、一貫して処理汚染水の海洋放出に反対の立場を堅持する福島県漁連や全漁連、また韓国や中国・南太平洋諸国など世界各国からの懸念や反対の声と連帯して、海洋放出の撤回を求めていく。
(8/22 社民党全国連合 談話)
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